支援前の状況
ご相談の出発点は、Google検索やマップ上の情報が十分に整っておらず、店舗の魅力や予約方法が伝わりにくいという悩みでした。店内のサービスや接客には手応えがあり、既存のお客様からも一定の評価を得ていましたが、初めて店舗を知る人にとっては、営業日時、メニュー、価格帯、予約方法といった判断材料が複数の場所に分散していました。
現場では、接客、予約管理、在庫確認、スタッフとの共有、取引先への連絡など、毎日の業務が途切れなく続きます。空いた時間にSNSを更新しても、投稿の目的や次の行動が定まっていなければ、成果を判断しにくくなります。「更新しなければ」という負担だけが積み重なり、数字を見直す時間までは確保できていませんでした。
また、相談相手がサービスごとに分かれていることも課題でした。広告は広告会社、通信は通信会社、設備は設備会社というように窓口が増えるほど、経営者自身が情報をつなぎ合わせ、優先順位を決めなければなりません。個々の提案が正しくても、店舗全体で見たときに今やるべきことかどうかを判断する負担が残っていました。
・店舗情報の掲載先によって内容が異なり、更新漏れが起きていた
・施策ごとの目的と効果を確認する基準が決まっていなかった
・現場業務を優先すると、集客の振り返りが後回しになっていた
ヒアリングで分かったこと
アセンシアでは、相談を受けてすぐに特定のサービスを勧めることはしません。まず確認したのは、経営者がどのような店舗をつくりたいのか、どのお客様に選ばれたいのか、現場で何に時間を取られているのかということでした。数字だけでは分からない違和感や、これまで試した施策、そのとき感じた負担も含めて聞き取ります。
ヒアリングでは、「売上を増やしたい」という言葉をそのまま目標にはしません。新規来店を増やしたいのか、再来店を増やしたいのか、客単価を見直したいのかによって、確認すべき場所も打ち手も変わるからです。さらに、短期的な数字だけでなく、スタッフ数、予約枠、提供時間、利益率など、受け入れ側の状況も整理しました。
やることを増やす前に、何をやらないかまで決める。経営者が迷わず判断できる状態をつくることも、支援の大切な一部です。
話を整理する中で見えてきたのは、認知そのものだけではなく、店舗を見つけた人が比較・検討する段階で情報が足りていないことでした。そこで、広告出稿を急ぐよりも、既にある検索接点や店舗情報を整え、来店を検討する人が迷わない導線をつくる方が先だと判断しました。
支援方針・優先順位
ヒアリング後は、課題を「すぐに直せること」「継続して改善すること」「現時点ではやらないこと」に分けました。すべてを同時に進めると、現場の負担が増え、どの施策が変化につながったのかも分かりにくくなります。限られた時間と予算の中で、効果と実行のしやすさを見ながら順番を決めました。
【Priority 01】検索・店舗情報の表記を統一する:営業時間、連絡先、メニュー、予約方法を確認し、初めて見る人にも迷いのない状態へ。
【Priority 02】写真と文章で選ぶ理由を伝える:店内の雰囲気、サービスの特徴、利用の流れを整理し、不安を減らす情報を追加。
【Priority 03】月ごとに数字を確認する:見る指標を絞り、変化の理由と次に試すことを短い言葉で記録。
今回の支援方針は、検索情報、写真、説明文、予約導線を整え、月次で反応を確認できる運用へ移行すること。提案書を渡して終わるのではなく、誰が、いつ、どの順番で進めるかまで共有し、現場で無理なく続けられる大きさに作業を分けました。
今回の支援方針は、検索情報、写真、説明文、予約導線を整え、月次で反応を確認できる運用へ移行すること。
実行内容
実行フェーズでは、通常営業を圧迫しないことを前提にしました。経営者やスタッフにしか判断できない内容と、アセンシア側で整理・準備できる作業を分け、確認の回数を減らします。打ち合わせのための打ち合わせを増やさず、判断が必要な項目をまとめて提示しました。
【STEP 1】情報をそろえる:Webサイト、地図サービス、SNS、予約ページに掲載されている情報を一覧化しました。表記の違い、古い写真、終了したメニューなどを確認し、正しい情報の基準を一つにします。
【STEP 2】お客様の視点で導線を見る:店舗を知らない人が検索し、比較し、予約するまでをスマートフォンで確認しました。「何の店か」「自分に合うか」「どこから予約するか」が短時間で分かるよう、写真の順序と説明文を調整します。
【STEP 3】続けられる運用に絞る:更新頻度を高く設定するのではなく、月に何回なら無理なく続けられるかを確認しました。よくある質問や季節ごとの案内を先に整理し、毎回ゼロから内容を考えなくても更新できる形にします。
【STEP 4】数字と現場の感覚を照らす:表示回数だけで良し悪しを決めず、電話、経路検索、予約、来店時の声を合わせて確認しました。数字が動いた月は、何を変えたかを振り返り、次の改善を一つだけ決めます。
途中で予定どおりに進まない週もありました。繁忙期やスタッフの欠勤があれば、店舗運営を優先します。その際は計画を止めたと捉えるのではなく、優先順位を組み替え、再開しやすい状態を残しました。長く続く店舗支援では、計画を守ることより、変化に合わせて計画を調整できることが重要です。
支援後の変化
支援後は、必要な情報が一か所に整理され、更新時に迷うことが減りました。また、問い合わせや来店につながる動きを定期的に見るようになり、「なんとなく更新する」状態から、目的を持って改善する状態へ変わりました。 ・店舗情報と予約導線が統一され、更新の判断がしやすくなった ・確認する数字が明確になり、月ごとの振り返りが定着した ・経営者がすべてを抱えず、相談しながら改善できる状態になった 一方で、数字が一度伸びたことをゴールにはしていません。検索環境や競合の動き、お客様が求める情報は変わります。新規のお客様が増えれば、次は予約枠や再来店の仕組みが課題になることもあります。今回整えたのは、正解そのものではなく、変化に気づき、次の判断をしやすくするための土台です。 振り返りでは、施策を始める前と同じ条件で数字を比べることも大切にしました。期間、曜日、季節要因、キャンペーンの有無が違えば、単純な増減だけで効果を判断できません。数値が伸びなかった項目についても失敗として片づけず、お客様の行動がどこで止まったのか、店舗側の受け入れ体制に無理がなかったかを確認しました。 現場からは、問い合わせ内容の変化も共有してもらいました。事前にサービス内容や利用の流れを理解したうえで連絡する方が増えると、電話やメッセージで一から説明する時間が短くなります。これは画面上の数値には表れにくい変化ですが、接客前の負担を減らし、来店後の行き違いを防ぐうえで重要な手応えです。 さらに、経営者だけが数字を見る状態から、必要な範囲でスタッフとも状況を共有する形へ移しました。「今月は何を変えたのか」「お客様からどのような声があったのか」を短時間で確認することで、更新や改善が一人の仕事になりません。現場で気づいた小さな変化が、次の判断材料として残るようになりました。 定例の確認では、結果を報告するだけでなく、次回までに行うことを一つか二つに絞ります。担当者、期限、確認する数字を決め、完了できなかった場合は理由も残します。忙しさを責めるのではなく、続かなかった仕組みの方を見直すことで、店舗に合った運用へ少しずつ近づけました。
事業者さまの声
相談する前は、やった方がいいことが多すぎて、結局どれも中途半端になっていました。状況を一緒に整理してもらい、今やることがはっきりしただけでも気持ちが軽くなりました。数字の見方も難しく考えず、次の一手を決めるために使えるようになったと感じています。
地方都市で新規開業した美容サロンA店 代表者さま
この支援から見えたこと
店舗経営の課題は、一つのサービスだけで解決できるとは限りません。集客の相談から始まっても、実際には予約の受け方、スタッフの役割、設備や契約のコストが影響している場合があります。だからこそ、目の前の症状だけでなく、店舗全体の流れを見る必要があります。
今回も、単に情報を整えるだけなら短期間で終えられました。しかし、誰が更新するのか、忙しい月はどうするのか、数字をどのタイミングで見るのかまで決めなければ、数か月後に元の状態へ戻る可能性があります。実行後の運用を先に考えることで、施策は一時的な作業ではなく、店舗の習慣になります。
また、必要のないものを勧めないことも重要でした。新しいツールや広告は魅力的に見えますが、管理する場所が増えるほど、現場の負担も増えます。既に持っている接点を生かし、効果を確認してから次へ進む。その順番が、結果的にコストと時間の両方を守ります。
次の改善へ
次の段階では、来店後のお客様との関係づくりを見直します。どのようなきっかけで店舗を知り、何を理由に選び、利用後にどのような感想を持ったのか。現場で得られる声を、今後の情報発信やサービス改善へつなげていきます。
アセンシアの支援は、提案した時点では終わりません。実行してみて初めて分かることを一緒に確認し、店舗の成長段階に合わせて支援の形も変えていきます。困ったときに状況を一から説明し直すのではなく、「まず相談してみよう」と思っていただける関係を積み重ねます。
経営者が、お客様やサービス、そして事業そのものに向き合える時間をつくること。それが、今回の支援でも変わらず大切にした考え方です。